自遊人十条
チームの力で、社会を変える。
一人でできることには、限界があります。どれだけ優秀な人であっても、たった一人だけで何かを成し遂げることなど不可能なのです。たとえばスポーツで考えてみましょう。個として優秀な人ばかりを高額な年俸で集めたようなドリームチームをつくったとしても、結果的に団結力でまとまったチームに負けてしまうことは珍しいことではありません。ならば必要なことは何か。一つの目標に向けて、全員でベクトルを合わせて全力で集中していくことが、何かを成し遂げるためには不可欠な要素と言えます。そもそも、個人主義は欧米の文化。侵略、封建、搾取、プランテーションなどが土台にあって育まれた思想に対し、日本は島国で、農民は一致団結。いい領主もいて農民のことを考えた施策を展開してきた歴史があります。つまりチーム戦が得意な民族性であることは、歴史を振り返っても明白です。もともとDNAに刷り込まれた自分たちらしさを発揮することは、自遊人という会社の成長だけではなく、地域を復興させていくこと、またひいては日本が世界で戦っていくためにも無くてはならない重要なポイントだと考えています。
自ら考えてベストを選択する。
「考える」ことはとても大切だと普段から社内では伝えています。これまで自遊人では、里山十帖や箱根本箱といった宿泊施設の業務一つひとつであってもマニュアルをあえてつくることなくやってきました。(※松本十帖など規模が大きくなった施設に関して、最低限のガイドラインは必要になるとは考えていますが、あくまでそのとおりやればいいといったマニュアルはつくりません)。なぜならば、決まりきった挨拶、決まりきった対応を教科書どおりに行うことでは私たちの価値は伝えられないと思っているからです。リアルメディアとしてプレゼンテーションをしていく接客こそ、なによりクリエイティブな仕事なのに、その創造性に蓋をしてしまうことにほかならない。だから思考放棄してはいけない。自分の頭で考えなければいけないのです。目的が決まっていれば、自ずとどうすればいいかも考えられるものです。そして、自分で考えて実行したことに、たとえばお客さまからフィードバックが返ってきたり、喜びのお声をいただいたりすれば、それが成功体験となってさらにエンジンがかかるもの。そうして自分なりのベストを選び進んでいくことの先に成長があるのです。
社会実現の先に、自己実現を。
昨今、自己実現が非常に大切にされる時代になってきたなと実感します。もちろん大切なことではあると思うものの、自遊人で働く皆さん大前提として自己実現のまえに社会実現を考える人であってほしいと考えています。厳しい言い方をすれば、世の中は一人のためにあるんじゃない。支え合ってできているんです。たとえば社会が成り立っていなければ?戦争で焼け野原になってしまったら?あなたは生きていけますか。今、平和な社会が保たれているのは社会のことを考え、行動する人が集まっているからこそ。自己主義ばかりの人が集まってしまえば、当然成り立ちません。今、教育の中でなにより自己実現が優先され、それを表層的に取り上げ、自分中心でいいと受け取られてしまっていることも原因の一部でしょう。人を差し置いて自分のことしか考えないようでは、社会は崩壊してしまうのです。だからこそ、私たち自遊人では社会のことをまず考えます。私たちは地方から革命を起こし、この国の未来をつくっていくという社会実現を第一に考える会社です。まずここに共感できる人と一緒に働いていきたいと思っています。
編集で二律背反を融合させる。
世の中で不可能と思われていたけれど、実は可能だったということは往々にしてあります。たとえば大きな話として、経済の世界では社会主義と資本主義が融合することはないと言われていたところがありますが、中国がそれを実現した。結果、爆発的な成長スピードを生み出しています。ではこれを企業に置き換えて考えてみましょう。これまで相反すると思われていることや「交わらない、ありえない」と言われていることを現実にできれば革命が起こせるというわけです。私たちは、編集で培ったクリエイティブ力を武器に、その革命を起こしながらこれまで成長してきました。新潟の南魚沼を本社にして雑誌をつくる。雑誌社がオーガニックな食品の通販を始める。人里離れた場所でたった13室の宿を成立させる。すべて、はじめから順調だったわけではありません。何かを成し遂げるためには、犠牲も払っていく覚悟が必要です。時間なのか、お金なのか。世の中的には交わらないものなので認知・理解にも時間がかかり、はじめは赤字も出しました。けれど成果が出るまで、しつこくやりつづけ、あの手この手で攻め続けるのです。しかもスピーディに。その結果として、今があるわけです。
本質的で品のある行動に徹する。
本質的ではなく品のない行動が、ビジネスにおいてとても多いよねという話で、私たちはそうでないようにしようという決意です。たとえば、「今流行っていることを表面的にマネるのはやめよう」とよく話をするのですが、それは何も本質を見ていないし、そうすることにまったく意味がないからです。よくマーケティングを勘違いする人がいます。世の中を分析し、勝てることを見つけ、早くやることだと思っている人はいませんか。それだけでは間違いがおきてしまう場合があるということです。たとえば、商店街を活性化させようとプロジェクトが立ち上がったとした時、よくある話で「カフェをつくりましょう」など流行りを持ち込むことで解決しようとするケースがとても多い。これで一瞬人が集まったとしても、来てくれた人にどう商店街を回遊してもらうか、どう買い物して帰ってもらうか。そういったアイディアが抜け落ちてしまっては、本来の目的である商店街の活性化にはつながりません。形だけをマネるような品のない行動はやめ、本質を見て選択することがすなわちビジネスの成功にも直結していくのです。
非常識にチャンスを見出す。
そもそも、世の中に常識というものが存在すると思いますか?私は、一貫して常識なんて幻想だと言いつづけてきました。ルールで決めたわけでもないことを、大多数の人が根拠もなく信じ込んで共通認識ができているだけ。そこに実体はありません。そして、だれもが思っていることは、みんなが同じように見ている世界の話。ビジネスで言えば、ここで当然過当競争が起きるわけで、チャンスは一つも生まれません。仮に大手企業のように潤沢な資金を持って、市場を席巻しにいくようであればいいかもしれませんが、私たちは小資本。であれば、誰も見ていない、気づいていない視点に絞り込んで、ベクトルを狭めて全力を投下することが勝ち筋としては当然の戦略なわけです。そう考えると、誰かから「常識では」とか「当たり前でしょう」という言葉が出たときは、むしろ好機。何を常識と捉えているのだろうと考え、原因を突き詰めることで逆にチャンスを手にすることができるからです。世の中の「当たり前」に疑問を持つこと。常に意識しながら日々を積み重ねて行くべき思考の前提条件です。
責任と戦略を持ち自由にやる。
自遊人では、目的やゴールさえ間違わなければ、かなり自由に仕事に取り組むことができる環境です。一方その自由を手にするために、裏返しとして求められるのは責任。やってみた結果、失敗することは仕方のないこととして、上手くいかなくても諦めずに最後までやり遂げることが責任であると考えます。一番良くないのは、結果が出ないことで「自分はもうだめです」と逃げてしまうこと。それは、反省と見せかけた責任逃れであると考えます。上手くいかなければ、次はどうしたらいいかを考え、次々と行動を起こしつづけていくことが大切なのです。また、同じ失敗を2度、3度と繰り返さないために必要になってくるのが戦略でしょう。失敗した後、ただチャレンジを繰り返すだけでは、時間の浪費。せっかく目の前にあったチャンスも逃げてしまいかねません。自遊人十条の「まず動いて、それから考える」でも解説したように、チャンスは何度もやってくるものではない。だからこそ、数少ない機会を必ずモノにするためには戦略性を持って、挑戦を続けることが大切なのです。
プレゼンテーション力を磨く。
自分たちのやっていることが、どれほど価値のあることだとしても、知ってもらえなければ何もやっていないことと同義です。つまり、企業活動を認知してもらい、理解してもらうために必要なのがプレゼンテーション力なのです。特に、私たちが取り組んでいることは、世の中にないことや、一般的に見れば変わったことが多い。これは黙っていたら、ただの変わった人たちですよね。自遊人にとって人に理解してもらうことは、生命線なのです。ただし、言いたいことを全部言えば伝わるわけじゃない。1から10まで詰め込んだら、ただのお説教になり、聞きたくもない話になってしまう。だからこそ、伝え方にこだわりたい。たとえば、宿泊施設に使いたい放題のタオルがないとか、アメニティが少ないとか、ご意見をいただくことがあります。けれど、そこにはすべて理由があるわけです。謝るのではなく目的と想いを伝える切り返し次第で、むしろ深い理解を得られることも少なくありません。そうした日常のコミュニケーション一つとってもすべてプレゼン次第。伝える能力は、常に磨き続けていきたい大切な力です。
まず動いて、それから考える。
自遊人十条の中に、自ら考えることの大切さを表明する一文がありますが、矛盾のないように説明をしておくと、日々考えるのは前提条件です。どうしたらもっとうまくいくか。思考を巡らせるのは常々やることであって、考えているだけで動かないのでは何も意味がないよ、ということです。特に中小企業は、スピードが命。同じチャンスが1ヶ月後、1週間後も目の前にあると思ったら大間違いです。これは私自身の教訓でもありますが、チャンスはいつでもやってくると勘違いしている人は世の中に多い。そして、チャンスはチャンスの顔をしてやってこないというのも大事なポイントです。たとえば里山十帖をやらないかとお声がけいただいた時も、「待ってました、宿がやりたかったところでした!」ではなく「頼まれはしたものの、宿泊施設か…」が最初でした。けれど、この機会をいかに活かすか。リアルメディアの考え方、立地、雑誌社が宿、など絶対に注目される。これはやるしかない!とまず決意しました。人生のチャンスは、そう何度もない。だからこそまずは掴む。そしてうまくいく方法を考えながら動きつづければいいのです。
世の中に無いものを、つくる。
世の中に無いものをつくることは、私たちにとってそもそも当たり前の話です。美大に通っていた時から、ずっとそう。誰かのマネをしても意味がないと言う人ばかりの中で生きていた学生時代。正直自信過剰で、大した才能もないのにできると思っていたフシも多分にあるわけですが、絶えず「オリジナルがつくりたい」。学生中に立ち上げた会社ですから、それが、前提となる価値観になっているのです。でもクリエイティブってそういうものじゃないですか?里山十帖を始めたときも、雑誌が影響力を失い始める中、宿を「リアルメディア」にしようと考えました。「ライフスタイル総合提案施設」とコンセプトを決め、食と環境にこだわって、今で言うSDGsの先駆けのような取り組みを始めましたが、そんな事を言うホテルはどこにもなかった。だからこそ、注目されました。結局、世の中に無いものに価値があるんですよね。どうせやるなら、流行りに乗るようなかっこ悪いことはしたくない。自遊人は、そのプライドを曲げずに持ち続けたことで、ここまで来た会社です。