自遊人のオフィスは東京、魚沼、丹波の3カ所にありますが、そのうち新潟・魚沼のオフィスは元宿泊施設。
1階にはけっこう広いキッチンがあります。しかも新潟での業務は雑誌制作だけでなく、商品チェック(という名の味見)が重要なお仕事。
ということもあって食べることも仕事のうちなのです。
素材の味を楽しむために
 前号では自遊人のオフィスと私たちの暮らしぶりを思い切って公開しましたが、そのなかでもっとも反響があったのが、移住前後の生活比較と「食卓を囲む風景」。
「本当にあんな料理を毎日食べているの?」という声を多方面からいただき、「それでは」ということで、毎日の食卓を写真に撮ることにしました。写真に撮るだけではもったいないので、ウェブに「自遊人の食卓」というページをつくることに。
「レシピを教えて欲しい」という声もたくさん頂戴したので、簡単なレシピも公開しています。毎日、みんなが目分量で料理をつくっているため、実はレシピを載せるのはすごく難しくて、かなり大ざっぱなものではありますが、それは毎日の食事なのでお許しください。
 ところで、自遊人の食卓でいちばん大切にしていることは「素材」。ご覧のように、料理はシンプルなものばかりです。素材がよければ味付けはシンプルでいいですし、ということは、調理も簡単。手早く、ささっと料理をつくることができます。
 素材は全国から取り寄せます。ただし野菜はおもに自遊人の倉庫と物流センターのある丹波から。現地スタッフの橋場から、週に一〜二回、野菜が送られてきます。自遊人では新規就農者を支援するため、まだ実績の少ない生産者の野菜も仕入れているのですが、その味をチェックするのも私たちの役目。無農薬・有機栽培の野菜とはいえ、栽培歴が浅いと味のバラツキがでることもあるからです。
 もちろんお米は、自分たちで育てた魚沼産コシヒカリ。基本的には玄米で食べています。
 白米を食べている日は、まず間違いなく誰かのお米の試食。無農薬や有機栽培のお米は玄米で購入されるお客様も多いので、白米だけでなく玄米でも必ず試食しています。
 そして味噌は自分たちで仕込んだ「自遊人の特別仕込み味噌」が定番。この味噌は毎年、私たちが木桶で仕込んでいるもので、材料に無農薬栽培のコシヒカリ、国産有機丸大豆、天然塩をつかった極上品。実は私たちがこの味噌をつくるまで、世の中に国産の無農薬・有機原料だけで仕込んだ味噌は存在しなかったのです。その理由は原価が高すぎるから。味噌業界は価格競争が厳しく、有機原料の味噌は誰もつくれなかったのです。
最近では輸入の有機原料をつかった味噌が数社から販売されていますが、国産の無農薬・有機原料だけで仕込んだ味噌は自遊人が初。しかも1年半以上、木桶で熟成させていますから、旨みがまったく違います。
 だしは枕崎の本枯節と南茅かや部べの真昆布。まぐろ節や利尻昆布、九州のどんこ椎茸をつかうときもあります。
 ちなみに「会社のお金でご馳走が食べられて羨ましいなぁ」というご意見も頂戴するのですが、実は原則的に食材代は自腹。みんなでだいたいの食費を割り勘しています。自遊人はエンゲル係数の異常に高い会社で、食費をけちると社員として生き残っていけません(笑)。社則ではファーストフードとコンビニ弁当厳禁。自宅での化学調味料使用も禁止されています。
 ということで、今日も自遊人のオフィスでは誰かが料理をつくっています。
味噌汁はバリエーション豊か
 商品の試食も兼ねて、味噌汁の味噌は数種を日替わりで。定番は極上の素材をつかって自分たちで仕込んだ「自遊人の特別仕込み味噌」。優しい味で、どんな具にも合います。