「やっぱり時代は農業だよね」。そんな会話をあちこちで聞くようになりました。正直、「なんで?」「どうして?」と尋ねたくなる(突っ込みたくなる?)ことも多いのですが、それはさておき。農業に注目が集まることはいいことですし、私たちにとっても嬉しいことです。
 さて、そんな農業ブームのさなか、ということに結果的になってしまったのですが、自遊人では農業生産法人を起ち上げました。
『農業生産法人 自遊人ファーム』。
 この話をすると「やっぱりブームだから?」なんて聞かれるのですが、まったくそんなことはありません。
 自遊人が東京・日本橋から、日本一の米どころ新潟・南魚沼に移転して早6年、自分たちの田んぼ「自遊田」も、いよいよ6シーズン目に突入します。ところが、この自遊田なのですが……実は農地法上、ちょっと問題があったのでした。
 農地の売買や賃借には厳しい制限があるのですが、基本的に農業従事者以外が農地を借りて耕作することはできないことになっています。最近では少しくらいの賃借でおとがめを受けることはないわけですが、正式に言うと「クロ」。当然ながら農業従事者ではないので、とれたお米を販売することもできません。さらに当社では農業体験会も行っていたのですが、これも微妙だったりして・・・。
「もう5年もやっているのだし、正式にやろうよ」と、農業法人の設立に至ったわけです。
 ちなみに昨年の法改正で、要件を満たせば株式会社が農地を借りられることになりましたが、今回、私たちは農業生産法人の設立にこだわりました。なぜか?といえば、それは日本の農業の仕組みを肌感覚で知りたかったから。詳細は割愛しますが、株式会社の農業参入と農業生産法人の設立では、そのプロセスも、地域との関わり方も、国や地方自治体との関わり方も異なってくるのです。