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Ecological, Creative, Organic.
We're designing lifestyles.

© 2016 Jiyujin

What We Do

「自遊人ってどんな会社ですか?」

とても嬉しいことに、最近、「自遊人」についておたずねいただく機会が増えました。

名称から「自由な社風なんでしょうね」と言われることが多々あります。たしかにそのとおりかもしれません。でも「ゆる〜い感じ」ではありません。個人の尊厳を最大限に尊重すること。裁量を個々人に任せること。これが自遊人の考える「自由」。ただし自由の裏側には「責任」があります。自分に都合のいい「個人の尊厳」はわがままにすぎません。裁量を委ねられるということは自分に厳しくなければいけません。

自遊人は1989年5月、東京都小平市、西武国分寺線「鷹の台」の駅前アパートから始まりました。私がまだ武蔵野美術大学に在学中の時。6畳一間の風呂なしアパートに5人の学生が集い、仕事を始めました。美術やデザインの世界は「自分との戦い」です。大学に行ったからといってデザインができるようになるわけでも、いい絵が書けるわけでもありません。ひたすら自分と向き合って、自分を追い詰めて、アウトプットを捻り出す……。私は学業のほうは不真面目そのものでしたが、仕事に対してはかなり真面目でした。なぜなら大学には素晴らしい才能の持ち主がたくさんいたのです。「彼らに授業で勝ち目はなくても、仕事なら勝てる可能性がある」、そう考えたのです。

創業当時に掲げた理念は「創造力で社会貢献を目指す」。学生がずいぶんと崇高な社訓を作ったものですが、今でもこの考え方は変わっていません。

創造力、すなわち「クリエイティブ」。ではクリエイティブな仕事とはどんな仕事なのでしょう。けっしてデザイナーやアーティスト、シェフといった仕事だけがクリエイティブなわけではありません。

職業に貴賎はない。本当にそのとおりだと思います。

私の弟は若い頃、新宿でティッシュ配りをしていました。「どこで配ったら捕まらないのか」。禁止の基準となる中心地点からコンパスで円を描いて隙間を見つけ、そこで配ることを会社に提案したそうです。それを聞いた時、私は感激したと同時に誇りに思いました。

どんな職業でもクリエイティブであり得る。むしろデザイナーやアーティスト、シェフといったクリエイティブっぽい職業の人々のほうが、実はクリエイティブではなく、権威主義だったり、従属主義だったりすることが多々あります。

私が里山十帖をはじめ、宿泊施設を複数手掛けていることや、レストランに通うことが多いからかもしれませんが、いわゆる接客業は本当に「クリエイティブ」な職業だと思います。そして「人間力」の塊です。将来、あらゆる仕事がAIやロボットに代替されても、最後に残るのは人間力勝負の接客業。私は常々そう感じています。

つまり当社は、表面的にクリエイティブっぽい職業から、真にクリエイティブな接客業まであらゆるクリエイティブ職に溢れています。

宿泊施設を単なる「宿」としてみるのか、それとも「メディア」としてみるのか。同じように、接客業を単なる「サービス業」と考えるのか、それとも「クリエイティブ職」と考えるのか。デザイナーに対してはその逆も然り。いずれにしても、自遊人は「クリエイティブ」でなければ生き残れない会社です。

私たちの会社の存在意義は「新しい体験・発見・感動を社会に提案し続けること」。社会的に意義のある仕事をすれば、最低限の利益は必ずついてきます。そして応援してくれる人が現れます。

「どうやったら儲かるか」ではなく、「どうしたら世の中が楽しくなるか」「どうしたら世の中が変革することができるのか」。それが第一義です。

当社は過大な利益を追求しません。だから「利益あってこその社会貢献」という会社とは相性が合わないばかりか、全く会話が成り立ちません。だから社員に対しても「これだけ頑張ったら、給料がいくらになるぞ!」といった拝金主義的な鼓舞もしません。給与査定のための目標設定もしませんし、そもそも会社にマニュアルがありません。

ただ、間違えて欲しくないのは、自遊人という会社は「理想郷」でもなければ、理想論を掲げた団体でもないということです。利益を追求しないといっても、会社は利益がなければ成り立ちません。つまり最低限の利益は出さなければなりません。

そして同時に。当社は補助金や助成金をあてにした事業も行なっていません。新潟に移住して16年。もっとも嫌いな言葉が「陳情」。なぜなら陳情はクリエイティブではないからです。県や市の委員などもしていますが、ポリシーとして陳情もしないし、自社への利益誘導は絶対にしないと決めています。

ほとんどの人は「そんなの成り立つわけがない」「格好つけるな」と言います。でもそれを成り立たせるのが私たちの使命。無理難題だらけ。だからこそ意義があります。そしてこれがSDGsの答えだと思うのです。

理想論だけでは成り立たない。個人の欲ではもっと成り立たない。でも事業を継続するために黒字を出し続けるのはもっと難しい。さらに社会のためにそこそこ納税するのはもっともっと難しい。

私たちは「株式会社」にこだわっています。将来的には社会的企業として株主に投資の是非を問うくらいの会社になりたいと思っていますが、創業から30年、会社は継続こそしていますが、まだまだ遠い存在です。

とはいえ、次世代に繋いでいく過程ではあり得る話だと思っています。近い将来、日本に「社会的投資」という形態があり得るようになった時、手を挙げられるような会社にしたいと常々思っています。

「創造力で社会貢献を目指す」。

果たして何周年で目的に達するのか。それとも目的に達することができずに終わってしまうのか。こればかりはわかりませんが、少なくとも私は前者を目指して、仲間たちとともに歩んでいきたいと思っています。

武蔵野美術大学という、美術&デザインしかわからない大学で育った経営者です。ですが、すでに美術&デザインではない、広い視野と知識が必要な次元に入りつつあります。お金の夢ではなく、社会が変わる夢。世界中の人々が幸せに暮らす夢。そんな夢を50歳を超して、まだ見たいと思っています。

当社に採用応募してくださる方とも、ご支援いただける方とも、そんな夢を共有したい。今までにない夢を、皆さんと共有したいと思っています。

一緒に楽しいこと、やりませんか? 

人生は一度きり。自分のためよりも「社会のため」を優先する人と一緒に夢を見たいと思っています。年齢問わず同志を募っています。自分に厳しく、他人に優しく。夢のある会社、そして社会を作りましょう。

自遊人 代表取締役 岩佐十良


こんな事業を展開しています。

雑誌「自遊人」
「Ecological. Creative. Organic. We're designing lifestyles.」をテーマにしたライフスタイルマガジンで、「地方から発進する日本で唯一の全国誌」。創刊は2000年。発行部数は最大16万5000部で、ジャンル2位という記録を残す。近年ではオーガニック・ライフスタイルをテーマに、情報感度が高く発信力のある読者の絞り込みを行い、新たな雑誌メディアの方向性を確立。地域活性やまちづくりをテーマにした特集も好評。

オーガニック・エクスプレス
2002年、雑誌「自遊人」のお米特集から始まった企画。本当に美味しいお米を追求した結果、それらが販売されていないことがわかり、自社で仕入れ・販売することを決意。雑誌連動型の食品販売事業がスタートした。現在では兵庫県丹波市にも拠点を構え、有機無農薬栽培の野菜の集荷・発送を行っている。

ライフスタイルホテル(メディア型ホテル)
「里山十帖」、「箱根本箱」、「講 大津百町」、そして、2020年に開業する「松本十帖」、「SILVER MOUNTAIN LODGE」。「宿・ホテル」を媒体とし、リアルな体験を舞台装置にさまざまな情報を「伝え」、発見や感動を創造し、共感を連鎖させることで大きなムーブメントを生み出す。それが自遊人の考える「新しい時代のメディア」。「一軒の宿が地域のセンターハブになり得る」という考えのもと、ライフスタイルホテルを経営・企画・運営する。

コンサルティング&プロデュース事業
里山十帖やオーガニック・エクスプレス、自らの地方移転・移住で培ったノウハウや経験をベースに、地方創生、地域の再生・活性化、まちづくりデザイン、旅館再生・再建など、幅広い分野で、コンサルティング&プロデュース事業を展開している。今まで手がけた例として、群馬・長野・新潟県境で活動する「雪国A級グルメ」、鹿教湯温泉の「三水館」、島根県邑南町「A級グルメ基準作成」「石見香茶」、越後トキめき鉄道のリゾート列車「雪月花」、山形県赤湯温泉「山形座 瀧波」、新潟県DCキャンペーン「日本海美食旅」、丹波篠山や茨城県北など地方での「ローカルガストロノミー」を核とした持続可能な新しいまちづくりデザインプロジェクトが挙げられる。