新自遊田の面積は60アール(6反=6000平方メートル)。実際に作業をしてみるともう少し広そうで、1町歩(10反=10,000平方メートル)近くありそう。そのうち、今年耕作できたのは半分程度。棚田なので法面も多く、草刈りは大変です。

田んぼというのは、その昔は腰までずぶずぶ、なんてこともあったわけですが、現在の田んぼは膝下までしか潜りません。それは機械を入れて作業性を上げるために地盤をつくってあるためで、そのほか、水路をつくったり、1枚の面積を広げたり、効率化した田んぼをつくることを「土地改良」とか「圃場(ほじょう)整備」と言います。
 凄いなぁと思うのは、こんな山奥の田んぼでも土地改良がされていること。戦後、米の生産効率は飛躍的に上がったわけですが、それはこのような土地改良の成果とも言えるわけです。
 ただし、土地改良には多額の費用がかかります。個人が負担できるわけがなく、びっくりするほどの額が補助金でまかなわれているのが現実です。その一方で農家は少額の土地改良分担金を支払うためにヒーヒー、という現実もあります。私は農業問題の根幹はこのあたりにもあると感じていて、とくに農業の現場からソリューションが起きず、たえず政治主導になってしまった点は、土地改良の手法に大きな問題があったのではないでしょうか。
 話がずれましたが、こんな山の中にも土地改良は入っているのですが、さすがに山の中のため、地盤が一定ではないのです。つまりデコボコ。しかも一部に深い部分があって、自遊人所有の非力な旧式トラクターではスタックしかねません。ギアを1速か2速に入れて、超低速で慎重に耕さないといけないので、かなりの時間がかかります。
 さらに。田起こしをはじめてわかったのですが、この田んぼ、土の状態があまり良くありません。化学肥料を多投していたと推測され、土の臭いがあまりよくないのです。自遊人では全国にいる師匠の教えから(日本一の賞を獲得した農家の皆さんと取引があるので)、毎年、圃場の土壌分析をしているのですが……やはり専門機関での土壌分析にかけると、窒素、リン酸がかなり過多になっていました。
 メタンガスも多く発生しているようで(どんな農地でもメタンガスは発生していますが)、できるだけ多く、せめて3回は田起こし(あらかき)したい、ということになったのです。