トップページ いい羽毛掛け布団の選び方

ひとくちに羽毛布団と言っても、世の中にはさまざまなものが販売されています。ディスカウントストアに行けば1万円を切るものが多数ありますし、その一方で、専門店に行けば200〜300万円もする羽毛布団もあります。

そのため羽毛布団は昔から催眠販売などに巧みに使われ、粗悪な羽毛布団を高額な価格で販売する商法は現在も各地で行われています。

そこで今回は、数々の旅館や高級ホテルへ、羽毛布団をはじめ寝具を納入している金沢の老舗「石田屋」に羽毛布団の選び方を聞いてみました。
(聞き手 自遊人編集長 岩佐十良)



石田屋さんの羽毛布団はあちこちの旅館やホテルから「品質が高いわりに価格が手ごろ」と定評があります。それでも石田屋さんの最高級羽毛布団はシングルサイズで120万円もするわけですが、そもそも120万円の布団とディスカウントストアで売っている1万円以下の布団との違いはどこにあるのでしょう。
ディスカウントストアで売っている羽毛布団の中身をすべてみたわけではないので、あくまで一般論としてですが、一般的に安い価格で販売されている羽毛布団の中身は中国製のダック、つまりアヒルです。

皆さん、北京ダックはご存じですよね。その食用に使うために育てたダックの毛を使っているから価格が安いのです。一方、価格の高い羽毛布団に使われているのは羽毛布団のために育てられたグース(がちょう)。主にロシア、ハンガリー、ポーランドといった東欧諸国で育てられた羽毛を使っています。

食用北京ダックの羽毛と、布団用グースの羽毛とのいちばんの違いは、ダウンの大きさ。食用の北京ダックは小さな段階で絞めてしまうので、毛も細かくて、ダウンボールにもなりにくく、バラバラになってしまう傾向にあります。一方のグースは鳥が大きいので大きなダウンボールができます。

ヨーロッパでは「フィーリングパワー」という数値で表すのですが、簡単に言えば、高価な東欧製の羽毛布団と、安価な中国製羽毛布団の違いは、「保温性」「軽さ」「寿命」ということになるでしょうか。

中国のダックは日本のブロイラー以上にかなり劣悪な環境で育てられていて、衛生的にもかなり問題があると聞いたことがあります。抗生物質も多投されているようですが、実際のところはどうなのでしょう。
食肉用に絞めたダックの毛ですから、羽毛には血が付いていたり、肉が付いています。それを薬品で洗浄するのですが、その薬品に問題がある可能性は否定できません。実際に中国製の羽毛布団でアレルギーが出る方もいます。

当社にはよく「羽毛布団は臭いが嫌だ」という方がいらっしゃるのですが、その臭いは中国製の羽毛に限ってのこと。要はブロイラーですから、排泄物も羽根に付きますし、鶏舎自体の臭いがしみこんでしまいます。

一方、東欧産の上質な羽毛に臭いはしません。東欧では、自然の生態に近い放し飼いでグースを育てますし、羽毛の採取はワンシーズンに何度か、自然に毛が抜ける時期に、生きている鳥から胸毛を採取します。そうした羽根には汚れがほとんどありませんから、洗浄に危険な薬品を使う必要もありません。

以前、量販店で買った羽毛布団からヘドロの臭いがしたことがあります。買ってすぐにクリーニングに出しましたが、激安羽毛布団の中身はかなり危険な可能性がありますよね。

そうですね。皆さん、睡眠中は薄着で寝ることが多いと思うのですが、中国製の羽毛布団に寝るということは、危険な物質に包まれて寝ている可能性があるのです。「寝具は清潔に」とよく言いますが、羽毛布団の中身に問題があることも多いのです。

だとすると、羽毛布団は東欧のものを選ぶのがいいということでしょうか。

ところが東欧産と書いてあってもすべて正真正銘の東欧産とは言いきれないのです。
現在、日本に輸入されている羽毛の95%は中国産で、残りの5%がほぼヨーロッパ産ということになっているわけですが……。

現在の品質表記では、中国産を東欧に輸出して、そこから日本に入れると「東欧産」に化けてしまうのです。実際、東欧産のかなりのものが実際には中国産なのではないかと言われています。

では、本物の東欧産と中国産を見分けるにはどうしたらいいでしょう。

プロであれば、布団を開いて羽毛を見ればわかりますが、一般の方は難しいかもしれませんね。日本には、羽毛のプロはほとんどいないのが現状です。だからこそ、お店選びが重要なのだと思います。


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ホテルや旅館にとって布団やベッドの仕入れ先は企業秘密であることが多く、実名はほとんど挙げられませんが、長野県鹿教湯温泉の旅館『三水館』や、富山県のリゾートホテル『リバーリトリート雅樂倶』のほか、数々の名宿、ホテルが特別室などに採用している石田屋の寝具。価格は一見高く感じても、“天然素材”と“本物”にこだわった上質な寝具ばかりなので、結局は長く使えてオトク。
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