原因不明の腰痛、肩こり、頭痛……。実は敷布団が原因だったりしませんか?言うまでもなく、人間の生きている時間の1/3近くは睡眠。その1/3に問題があれば、さまざまな体の不調が現れます。
さらに最近ではさまざまな生活習慣病の原因となる睡眠時無呼吸症候群も社会的な問題に。かくいう私も7年ほど前「重度」の診断を受けました。食事や運動などの生活改善を心がけ、最後にたどりついたのが“睡眠の質”。本来であれば、まず睡眠の質を探求すべきなのですが、睡眠時のことは自分ではわからないためどうしても現実感がなく、あとまわしにしていたのです。
そこで今回は全国の旅館や高級ホテルにベッドや布団を納入する金沢の老舗『石田屋』に、体にいい敷布団とベッドの選び方を聞いてみました。常務の田中佳美さんは睡眠のプロ、睡眠改善インストラクターでもあります。
(聞き手 自遊人編集長 岩佐十良)
腰痛持ち、頭痛持ちの方、
その原因は布団とベッドにあるかもしれません。
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敷布団と掛け布団、枕と、睡眠を左右する寝具は主に3つありますが、私の感覚では敷布団がもっとも重要な気がします。もちろん掛け布団も重要ですが、掛け布団の価格差は主に“快適さ”に現れます。一方の敷布団は“快適さ”はもちろんですが、体調にダイレクトに現れるような気がします。 |
たしかにそうかもしれませんね。薬剤を大量に使った中国製の羽毛布団は論外だとして
(詳細はこちら)、ヨーロッパ産の羽毛掛け布団の価格差は、暖かさと軽さ、そして耐久性の違いと言えます。一方の敷布団は、価格によって素材も違いますし、組み合わせ方によって寝心地もまったく違いますね。 |
敷布団とベッドのマットレスは、どんなものを選べばいいのでしょう。 |
寝ているときは、どんな姿勢でも背骨が自然なS字カーブを描いた状態ですっと伸びている状態が理想的なんですね。立っているときと同じ姿勢で横になって寝ているのが理想なんです。つまり体型に応じてベッドや敷布団が柔軟に変化することが重要です。
そのため石田屋では、敷布団の場合には「ふとんエレメント」を、ベッドの場合には「リフォーマエレメント」を、いちばん下に敷くことをおすすめしています。ともにスイスのヒュースラー・ネスト社の製品で、「ふとんエレメント」は布団の上げ下げを考えて軽量化した日本専用の商品です。
これらはともにトリメール板と呼ばれる細い板がラテックスの上に何本も敷いてあるのですが、どんな姿勢に対しても体にあわせてぴったりとフィットして、常にベストな姿勢をキープしてくれます。たとえば横になって寝たとき、硬い寝具ですと肩やおしりがぶつかり、背骨を歪ませてしまうのですが、「リフォーマエレメント」と「ふとんエレメント」なら肩やおしり部分の板がぐっと沈み、腰部分は板が身体にフィットして支えてくれるので、常に背骨はまっすぐに保たれます。
つまり、横向きに寝ても、仰向けに寝ても、常に背骨が自然な状態に保たれるわけです。仰向けになったときは背骨のS字カーブにぴったりあわせて自然にたわむんですね。
「リフォーマエレメント」と「ふとんエレメント」は体型に応じた寝姿勢の調整を常に寝具がしてくれる、画期的なウッドスプリング。しかも天然素材100%。ラテックスは天然ゴム100%ですし、トリメール板を包んでいるのはオーガニックコットン。素材にはとことんこだわった商品です。
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この「ふとんエレメント」は、長野県鹿教湯温泉の温泉旅館「三水館」ではベッドの上にも使用していますよね。一般的な宿のベッドと比べるとちょっと硬めに感じますが寝心地はいいですね。 |
三水館さんでは「ふとんエレメント」の上に「バランスプロファイル」という無圧布団の進化形のような布団を敷いて、その上に「ヘッフェル ウールパッド」というベッドパッドを載せているのですが、畳の上で敷布団として使われるなら、この3点セットがもっともおすすめなセットですね。価格も手ごろです。
(このセットの価格を見る)
しかも「ふとんエレメント」は「リフォーマエレメント」と比べて軽量に仕上げてあるので折り畳んで押入に収納可能。くるくるっと巻いておくこともできます。
寝心地は畳の上だとスプリングが効いてソフト。三水館さんのようにベッドで使用すると、マットレスとしてはやや硬めに感じますが、敷布団としてはかなりソフトな寝心地です。敷布団派の方は硬めが好きな方が多いので、最初はふわふわした感じがするかもしれませんが、実際には背骨のラインはしっかりキープされています。
やがて慣れてくれば睡眠が深くなっていることに気がつくかもしれません。布団が自由自在にたわむので、寝返りをうつ回数が減って眠りも深くなります。天然素材で構成された敷布団セットはまるで鳥の巣のような寝心地です。
敷布団のベースとして使うのはもちろん、薄めのベッドマットレスと組み合わせるのにもおすすめですね。
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